ガチ恋
 「うちは初めて見た時から夏希のことが気になって、夏希のことばかり考えて、あの日、仲良く歩く二人を見てどうしてもこの気持ちを伝えたくなったんだ」
 とうかの言葉に噓はないのかもしれない。けれど……俺は最低な事を言ってしまう。
「どうせ、いつか目移りして浮気するんだろ?あいつみたいにさ」
「なんだよそれ、あいつって誰よ。うちはそんな尻軽じゃないよ」
叫ぶようにとうかは言った。
 すがるとうかの告白を聞いていると急に気分が悪くなって、
「吐きそう」と口を抑えて言ってしまった。
「吐きそうってなんだよ、そんな断りかたってあるかよ……酷すぎるよ」
とうかの肩が震えているのが振り返らなくてもわかった。
< 48 / 127 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop