私が好きになった人は先生でした
はぁ。どうしよー。

戻って戸田先生に助けを求める…それは絶対嫌!


あんな人に助けられるなんて…

あとが怖いからそれだけは避けたい。


色々考えながら、取り敢えず歩く私。

動かない方がいいとも思うけど、ただ突っ立ってたって何も変わらないし。


ただひたすら歩いていると、前から誰かが来た。

あ、あの人に道を聞こう。


校内で迷子とか恥ずかしいけど。


「あれ?こんなところに生徒?君、どうしたの?」

と、声をかけてくれたのは先生だった。


優しそうな先生。

あんな人とは大違い。


「えっと、玄関がわからなくなって…」

「ハハ、迷子ね。1年生だよね?」

「はい」

「一緒に玄関まで行こっか」

「ありがとうございます!」


すごく優しい!!

これはモテるだろうなー。


戸田先生ほどではないけど、そこそこかっこいいし。


って、なんであんな奴と比べてるの?私。

意味わかんない!


「俺、東條 徠斗(とうじょう らいと)!1年生の社会の担当します!あと、C組の担任!よろしくね」

「あ、私はA組の雨宮亜月です。よろしくお願いします」


東條先生は、ニコッと笑いかけてくれる。

こういう人がいいに決まってる!


東條先生みたいな人こそ、紳士的な大人って感じしませんか?

戸田先生みたいな人より、絶対いいよ。


「そういえば、入学式も遅れて来てたよね?」

「あー…あのときも迷子になっちゃって」

「ハハ。だから戸田先生と一緒に体育館来たんだ」

「はい。途中でバッタリ会って、連れてってもらったんです」


あのときも東條先生だったらよかったのに。
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