それでも、先生が好きでした。
「ん?どうした?」
そんな沙来に向かって
先生は小さく首を傾げる。
沙来はニヤリと笑うと
「いつ衣装に着替えるの〜?」
ゆっくり、はっきりと言葉を放った。
その言葉に、一瞬静まった教室だけれど
次の瞬間
「「「先生も着んの!!??」」」
見事にハモった男子の声を機に
大騒ぎとなった。
体育祭において
教師に服の指定はない。
だからたいてい
先生たちは自分のジャージなんかを着るのだけれど
一部の教師は
自分のクラスの衣装を着たりする。
それは
その教師がそのクラスを認めた
という意味だと
生徒たちの中で
暗黙の了解となっているんだ。
だから
先生が来てくれるということに
みんな大騒ぎとなってしまった。
「おい、騒ぎすぎ!
うるせーから!」
あまりに騒ぐみんなの姿に
先生は文句をいいつつも
まんざらでもなさそうな笑顔を浮かべてる。
「…まぁ、今年のクラスは
みんな頑張って準備してたしな?
俺も仲間に入りたかったから」
そして照れ臭そうにそう話す。
…先生が衣装を着てくれる…
なんだか夢みたいで
あたしは胸がいっぱいで。
先生は一通りゆっくりとクラス全員を見渡すと
「優勝狙うからな!!」
満面の笑みで、そう言った。