それでも、先生が好きでした。





バシッ

「いた!」



応援席に辿りつく手前

突然後ろから頭を叩かれた。



誰!?



勢いよく振り向いたあたしは


そこに居た人物に、思わず硬直する。





「開会式中、キョロキョロしすぎなんだけど」



その人はニヤリと意地悪く微笑むと



「何か探してたわけ?」



小さく首を傾けて

あたしを見下ろした。












………かっ…

………………かっこいい……












思わず頭に浮かんだその言葉。

それにつられるように

ぼっと顔が熱くなる。





振り向いた先にいたのは

衣装に着替え終えた先生。



普段はスーツの先生が

スーツ以外の服を着るだけでも貴重なのに


衣装を着てるだなんて………!!



まさか見れると思わなかった先生の姿に

あたしはクラリと目眩がしてしまう。



だって…


同じ黒地のドクロ柄のTシャツを

肩まで捲くりあげていて


迷彩柄のズボンは

腰パンの状態で下を少し捲って

ハーフパンツぐらいの長さにして


クラスの男子たちよりかっこよく着こなしているんだから、仕方ないよ。



しかも

捲くられた袖から覗く腕が

想像していたよりずっと筋肉質で

なんだか少し色っぽくて



あたしをドキドキさせるのには

十分すぎるんだ。





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