それでも、先生が好きでした。





…先生、それはずるい。


そんな優しく聞かれたら

嘘とかつけなくなる。





相変わらず喋らないあたしに


「一体、何があった…?」


今度はあたしの顔を覗き込むように

先生は問い掛けてきた。


間近で視線が絡み

思わず逸らすと


「…何もしてやれないかもしれない。

俺がなっちゃんの話しを聞いたところで

何も変わらないかもしれない。」


先生は切なげに

そう呟いた。



そんな先生の声に顔をあげると

また視線が絡み


「…でも、一緒に悲しんでやりたいって

一緒に悩んでやりたいって思うから。



話してほしい。」


先生はあたしの瞳を捕らえたまま

ゆっくりとそう言った。







どうしようもなく辛いとき

どうしようもなく怖いとき




゙一緒に゙




その一言が

こんなに温かいだなんて


あたしは知らなかった。





もう、一人じゃない。


一人で我慢しなくていい。





そう思った瞬間




涙が溢れた。





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