それでも、先生が好きでした。





「…あ…たし…っ


最近ずっと…だ、れかにっ

つけ…られて…てっ…


何も…ない、けどっ

こ、怖くって…っ」




涙が溢れるなか

あたしが伝えれたのは

それだけで




でも先生は


「怖かったな…

一人でよく我慢してたな…」


何度も何度も

あたしの頭を撫でてくれた。





やっと涙が落ち着いたころ


「警察とか教育委員会、

あと…親にも

伝えてもいいか?」


先生が真剣な眼差しでそう言った。




そうしなきゃいけない、

頭ではわかってるのに

あたしは素直に頷けなくて。



そんなあたしに先生は


「…迷惑、とか考えてるかもしれないけど

誰もそんなこと思ってない。


親も、俺達教員も、

なっちゃんが大事でしかたないんだからさ」



まるであたしの心を読んでしまったかのように

ニコッと笑いながらそう言った。





こんなあたしを

あたしなんかを

大事だと言ってくれた…。


先生にとって深い意味はなくても

あたしは、嬉しかったから…





「お願いします」


精一杯の感謝を込めて

頭を下げた。




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