それでも、先生が好きでした。
「……え、あの…っ!」
驚き、動揺を隠せないあたしは
携帯のディスプレイと先生の顔を
何度も交互に見る。
そんなあたしの様子に
先生はふっと笑いを零すと
「俺、基本は生徒に携帯教えない主義だから。
…内緒な?」
そう言って右手の人差し指を口元にあてた。
そんな仕種に
あたしの胸は熱くなる。
「…なっちゃんの話
俺の想像よりずっと重かった。
正直どう対処したらいいのか
わかんなくてさ…
こんな形でしか
安心させれなくてごめん」
悔しそうにそう呟いた先生に
あたしは更に
熱くなる。
嬉しかった。
ただ、嬉しかった…。
あたしのために
自分の主義を変えてくれたことが。
あたしを
安心させようと思ってくれたことが…。
「何かあったら
すぐかけて?
出れないときもあると思うけど…
絶対かけ直すから!」
最後にそう言ってくれた先生に
あたしの涙腺は
再び破られてしまった。
「あ〜あ、また泣く〜。」
そんなことを言いながらも
涙を拭ってくれる先生は…
やっぱり優しい。