それでも、先生が好きでした。





「…先生、ごめんなさい。

ありがとうございます!」


あたしは涙が零れないように

精一杯の笑顔で言う。



そんなあたしを見て


「もう、迷惑とか思うなよ?」


先生はくしゃっとあたしの髪を触った。





「それじゃ、今日は明るいうちに帰れよ!

…ほんとは送ってやりたいけど

ちょっと今日は会議がまだあるから…」


最後まであたしを気にかけてくれる先生は

本当に優しいと思う。


「明るいから、今日は大丈夫です!

それじゃあ…さよなら!」


先生を心配させないように

元気に手を上げて


あたしは保健室を出た。





時刻はまだ4時半。

初夏のこの時期なら

日没まではまだまだ時間はある。


辺りが明るいだけで

こんなに安心出来るものだとは思わなかった。



あたしは久々に

明るい気持ちで帰路についた。




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