それでも、先生が好きでした。
「最近、この近くでも
物騒な事件が頻発してるらしくってさ。
下校時間の遅い女子が
特に危ないって話しになってて
出来るだけ女子を一人で
帰らせないようにしようって
先生たちで決めたらしい。」
「へ―…」
「で、お前、いつも一人だろ?
俺、比較的方向同じだし
お前がよければ
これから毎日家まで送りたいんだけど。」
「……………はっ!!??」
拓哉の話しを聞いてて
昨日のこと絡みなんだとは
すぐ気付いたのだが…
全く想像しなかった話しの目的に
あたしは思わず大声を上げてしまった。
「送る……って
拓哉、いつもチャリ通じゃん!!」
「バスと電車に変えるつもりだけど?」
そうさらっと言った拓哉に
あたしは唖然としてしまう。
拓哉の家の詳しい場所は知らないが
出身中の学区から
あたしの下りる駅より
2つ前の駅の周辺だと思われる。
体力のある拓哉は
その距離でも毎日自転車で通学しているのだが…。
「…先生に頼まれたの?」
「まあね。
でも強制されたわけじゃねぇよ?
決めたのは俺だから。」
そう言う拓哉は
いつもと何も変わらない様子だった。