それでも、先生が好きでした。
…ほんとに、この男はどこまで天然なんだろう。
とんでもない台詞を連発しすぎる拓哉に
あたしは暫く言葉を失った。
拓哉はそんなあたしを
しばらく眺めてから
なかなか言葉を発しないからか
「…俺と帰るの、そんな嫌なの?」
と、少し傷付いた顔をした。
「そ、そうじゃなくて!」
そんな表情にあわてて否定すると
「じゃあ何考えてんの?」
拓哉はそう言いながら
あたしと拓哉の間にある机に頭を乗せ
下からあたしを見上げた。
普段、背の高い拓哉に
見上げられることなんてなく
慣れない状況に
思わず視線を反らしてしまう。
…これだから天然は困るんだ。
拓哉の無意識な行動に
あたしは深くため息をついた。
今こうして拓哉と2人でしゃべっていても
あたしはクラスのあちこちから
視線を感じている。
喋るだけでこんなに注目されるのに…
一緒に帰ったら
一体何て思われることか。
だんだん、あたしばっかり気にしてることが嫌になり
あたしは素直に拓哉に話しをしようと決めた。