それでも、先生が好きでした。





…あたしは、何を見てきたんだろう。



拓哉の真っ直ぐな視線に

そう思わずにはいられなかった。




拓哉がどんな気持ちで

何を考えながら

あたしに話しをしていたのか…



どうしてちゃんと

考えなかったんだろう。



「…ごめん…なさい…っ」



あたしのことを

1番に考えてくれた…



胸につのる熱い想いは

雫となって頬を伝う。


「え!?

ちょ、えりか!?」


そんなあたしを見て

拓哉は急に焦った顔になる。


オドオドする姿と声は

余計にクラス中の注目を浴びたようで


「神谷〜!!

お前女の子泣かせんなよ!!」


「えりか大丈夫?!」


そんな声が教室中に飛び交った。



「お前ら、黙っとけ!!」



そんなやじ馬たちに

拓哉は顔を真っ赤に染めながら

叫び黙らせると



「ごめん、えりか。

泣かせるつもりなんてなくて…


言葉キツくてごめん…」



あたしに向き直り

そう申し訳なさそうに俯いた。





< 39 / 149 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop