それでも、先生が好きでした。
「あ、なっちゃん。」
いつものように登校してきたら
校門をすぎたあたりで
名前を呼ばれた。
この世界で
あたしを゙なっちゃん゙と呼ぶ人は
たった一人。
声がした方を見ると
彼は駐車場に止めた車から下りたとこで
「おはよう。」
朝の低い声で挨拶してくれた。
「おはようございます。
やっぱり、朝は声が怖いですね(笑)」
頭を下げながら苦笑いをすると
「え、普通だろ?」
朝に声が低くなることに
未だ気付いてない彼は
不思議そうな顔をした。
彼は、あたしの担任の先生。
高田 渉(たかだ わたる) 先生。
27歳。