それでも、先生が好きでした。





声を出せそうになく

あたしは首を縦に振る。



そんなあたしに安堵の笑みを見せてから

母は先生と向き合った。



「先生と、神谷くん…でしたっけ?


犯人逮捕の日まで

ご迷惑をおかけしますが


どうか、えりかをよろしくお願いします」



深く頭を下げた母は

いつものカッコイイ母だった。



「学校と警察と

全力を尽くしていきたいと思います。


一刻も早く、犯人を捕まえます。」



そんな母に対して

先生も凜としたような、


決意の篭った顔をしていた。





「それじゃ、なっちゃんは教室戻りな?

お昼、まだだろ?」



話しが終わって、母を駐車場まで送り届けたあと

先生はあたしにそう言った。



―ぐぅうぅ…



「っ!」


お昼を食べていないことに気付いた途端

鳴ったお腹に顔が赤らむ。



そんなあたしを見て先生が爆笑したのは

言うまでもない。





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