それでも、先生が好きでした。





何も言わないあたし。


何も言えないあたし。



だけど先生は

あたしの考えてることなんて

お見通しなんだろう。


「感謝していくのが今日からでも

悪いことじゃない。


気付けたんだろ?

なら、それが大事だから。」


そうあたしの頭にコツン拳をぶつけて


「また授業でな!」


職員室へと戻って行った。







…今日からでいいのかな。

今日からでもいいのかな。




教室に戻ったあたしは

丁寧にお弁当箱を開ける。




今日も、栄養と色合いのバランスがとれた

美味しそうなお弁当。



でも、いつも以上に美味しそうに見えるのは

きっと心境の変化のせい。





お母さん、ありがとう。



いつも、いつも、



ありがとう。






「いただきます」と「ごちそうさま」の言葉が


自然と口から零れた。







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