それでも、先生が好きでした。





「開けてくれる?」


その部屋の前にたどり着くと

先生はそう言って振り向いた。


扉を開けると

中には沢山のパソコンとコピー機。



「ここでプリントとかつくるんだよ」



キョロキョロと辺りを見渡すあたしに

先生は持っていたものを机に置きながら説明する。



「好きなとこ座りな」


先生は自らも一つの椅子に座ると

目の前のパソコンの電源を入れた。



…なんだか、変な感じだ。



いろんな先生がいる職員室の奥で

あたしは、先生と二人きり。





嬉しさとか、緊張とか、

いろんな感情が心を締め付けて



すごくドキドキしてるのがわかる。





座席の回る椅子に腰掛けて

くるくると回ってみた。



視界に映った先生は

パソコンに何かを入力している。



…先生、パソコン使えるんだ。



当たり前のことだけど

実際にその姿を見るのは初めてだからか

違和感っていうか…


似合わないかも…。




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