それでも、先生が好きでした。
「は―…」
昇降口に入ったとこで
あたしはため息をついた。
朝から逢うなんて
思ってもみなかった…
早くなった鼓動を落ち着かせるように
何度か深呼吸をする。
いつからだったかな。
先生といると
呼吸することが
難しくなるようになったのは。
鼓動が早くなるようになったのは。
落ち着いたとこで
あたしは教室に向かう。
「えりか!」
階段を上がっていく途中
下から名前を呼ばれた。
「えりか、おはよ!」
明るい声であたしに声をかけてきたのは
同じバスケ部の
神谷 拓哉(かみや たくや)。
「おはよ、拓哉」
あたしの隣にまで上ってきた拓哉に
あたしも挨拶を返す。
拓哉はいわゆるイケメンで
バスケ部なだけに背が高く
スポーツ万能。
拓哉と普通に話せるあたしは
結構うらやましがられる。