それでも、先生が好きでした。
「あ、あたしって
こんなだから…
男関係っ、とかっ、適当で…
そんななかで神谷くんに出会えて…っ」
宮城さんは
それ以上なにも言わなかった。
…なにも言えなかった。
涙が止まらなかったから。
きっと彼女と拓哉との間には
あたしには想像出来ないほどの
いろいろなことがあったんだろう。
真っ直ぐで天然な拓哉。
そんな彼に惹かれた彼女は
彼の側にいれるようになるために
惜しみない努力をしたに違いない。
だけど…
その先で、やっと見えはじめた幸せを
あたしが壊してしまったんだね。
ごめんね、宮城さん。
―キーンコーンカーンコーン―
沈黙を破るように響いた予鈴に
宮城さんは必死に涙を拭う。
「…教室、戻れる?」
ゆっくりと彼女に問いかけると
「大丈夫!」
宮城さんは精一杯の笑顔を向けてくれた。