それでも、先生が好きでした。





「てかっ、あたし那智さんと仲良くなりたい!」


「へっ?」



教室までの道のり

突然の宮城さんの言葉に

あたしは思わず足を止めた。



「なんか気が合いそうな気がするんだ!


…てことでっ」



彼女はあたしの目の前に向き合うに立つと



「これからは、゙さん付げやめよう?

苗字も嫌!


よろしくね、えりか!」



すっと、あたしに右手を差し出した。



恥ずかしい話しなのかもしれないが

こんな風に言われたのは初めてで



驚きで目を見開いてしまい

だけど嬉しくて恥ずかしくて

顔が熱くなった。



「も―、何照れてるの―?」



そんなあたしの姿に

宮城さんはクスクスと笑う。



「だっ、だって!」


「ん―?」


「…嬉しいんだもん」


俯きながら、小さく呟く。


「ひゃっ!」


それと同時に

宮城さんに抱き着かれた。



「えりか可愛い〜!」



「ちょっ、沙来(さら)っ!

授業遅れるよ!?」


「あ、名前!」


あたしより少しだけ背の高い沙来が

あたしを見下ろしながら嬉しそうに微笑むから

なんだかあたしも、もっと嬉しくて


「よろしくね、沙来」


そう笑ったんだ。




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