それでも、先生が好きでした。
あたしと1mと離れていない場所まで
椅子を持ってきて腰掛けた先生。
「話してみ?」
そう首を傾げる姿に
早くなる鼓動。
…今は、緊張してる場合じゃないでしょ…!!
あたしは自分に言い聞かせて
まっすぐに先生と向き合う。
そして話した。
拓哉と、沙来の話を―――…
「なっちゃんさー…」
話を聞き終えた先生は
はーっと頭を抱えながら俯いた。
「な、なに?」
みたことない先生の仕種に
また弾みだす鼓動。
「人のこと考えすぎ」
そう呟いた先生は
自らの膝に肘をのせて
頬杖を付きながらあたしを睨むから
少し上目使いになってて。
そんな先生を可愛いと思ったあたしは
そうとう、だね。
そんなあたしとは裏腹に
先生は真剣な表情で、ゆっくりとため息をついてから話し出す。