それでも、先生が好きでした。
「なっちゃんの気持ちも、わかるよ?
自分のせいで他人の幸せを壊してるんだって知ったら
そりゃあ、身を引きたくなると思うけどさ」
先生は、もう一度ため息をついて
姿勢を正して、まっすぐにあたしを見る。
「だけど、じゃああいつらの気持ちを考えて
なっちゃんを一人で帰らせたとするよ?
もし、それで何かあったら、
あいつらどうなんの」
「……っ」
そう言った先生の瞳には
あたしに対する軽蔑しか滲んでなかった。
覚悟は、してた。
こんな話したら、軽蔑されるか…怒られるんじゃないかって。
だけど
こんなに胸が痛くなるとは
思わなかった……
「あと、もう一つ言っておくと」
暫く続いた沈黙を破った先生の声は
さらに呆れを交えたようなもので
その声を聞いたあたしの視界は
みるみると滲んでゆく。
「神谷は、宮城のこと好きじゃないと思うけど」
「へ…?」