それでも、先生が好きでした。
あたしのマヌケな声に
先生はまたため息をつく。
「俺だって一応教師だし
一人一人をちゃんと見てるつもり
1年の頃からずっと神谷を見てるけど
あいつは、宮城のことは好きじゃない」
そう言った先生の目は
嘘をついているようには思えなかった。
だけど…
「なんで、そんなこと言い切れるの?」
あたしは先生を睨むように見る。
だって、人の気持ちのこと。
みんないろいろ考えて
いろいろなことを思って
生活しているのに
その内に秘めた気持ちが
簡単にわかるわけがない。
しかし、あたしの睨みを
先生はまったく気にもしないで
「かわんだよ、そんくらい」
逆に、冷たくあたしを見返した。
背筋が凍ったかと思った。
好きな人に冷たい目を向けられるのって
こんなにも切なくて
悲しいんだね……