それでも、先生が好きでした。
気が付いたら
走っていた。
あの場所に
もう
いたくなかった。
これ以上
傷つきたくなかった。
「…りかっ!
えりかっ!!!」
グイっと腕を掴まれ
あたしの足が止まる。
顔をあげれば
肩で息をしながら、心配そうにあたしを見下ろす拓哉がいて
「勝手に帰んなよ…」
あたしを捕まえたことに安堵したかのように
ゆっくりとため息をついた。
「とりあえず、バス停まで行くか」
そして独り言のように呟くと
あたしの手首を掴んだまま歩き出した。
「ほら、荷物」
バス停につき、ベンチに座ったあたしに
拓哉があたしの荷物を差し出す。
「ごめんね…」
拓哉と目を合わせずに、あたしはその荷物を受け取った。
ようやく冷静になって来た頭。
自分の暴走が恥ずかしすぎて
拓哉に合わせる顔がない。