それでも、先生が好きでした。

だから



「先生に、もう一人で大丈夫だからって言ったの」



真っ直ぐ拓哉を見て、あたしは言う。



突然強くなったあたしの視線に

拓哉は少し驚いてから


言葉の意味を理解するかのように

視線を泳がせたけど



「…え、なんで？」



結局答えが見えなかったらしく

わけがわからないといった顔で首を傾げた。





そんな拓哉に

あたしはふっと笑みを零して





「あたしは、


拓哉と沙来の幸せを壊しちゃったから」





泣きたくなる気持ちを堪えながら

ゆっくりと言った。








あたしの中で

きっとこの言葉をいえば、拓哉は照れ臭そうに笑って

「そんなこと気にしなくても…」

なんて言うと思ってたんだ。



それで全てが解決すると思ってたんだ。














なのに


どうして？
















拓哉の顔はみるみると曇り


その目は鋭く、あたしを睨んだ。