それでも、先生が好きでした。
何を言われたのかわからなかった。
「…今…なんて…?」
相変わらず真っ白な頭だけど
あたしは必死に言葉を綴る。
「だから、
俺はえりかが好きなんだよ」
恥じらう様子もなく、真っ直ぐにあたしを見つめた拓哉。
拓哉の言葉を理解した途端、あたしの顔はカッと熱くなる。
好きって…
好きって……
嘘でしょう?
フラフラと視線を泳がせたあたしを
拓哉はじっと見つめ続ける。
「俺にしとけよ…」
そして、拓哉はあたしの頬にその手を添えた。
「…えっ…」
戸惑うあたしに
ゆっくりと近付く拓哉の目は
今まで見たどんな拓哉よりも真剣で
その目に
捕われてしまいそうになったけど
その刹那
脳裏を掠めたのは
先生の笑顔。