それでも、先生が好きでした。
あまりの衝撃に
息をすることすら忘れてしまいそうになる。
だけど頭の中では
拓哉の言葉が何回もリピートされてて
誰にも言うつもりのなかったこの気持ちを
黙っていたら
肯定してるようなものなのに
そんなことに気付ける余裕さえない。
「…なんでだよ…」
うなだれるように
あたしの前に疼くまった拓哉。
もちろんあたしには
そんな彼を気遣う余裕だってないわけで。
ただ、そんな彼の姿を見て
いつか見た拓哉の寂しげな笑顔と
彼が言いかけた台詞を思い出す。
…あれは
拓哉が先生にあたしのことを頼まれて
一緒に帰ることを決めた日で
―…えりか、お前さ…
…いや、なんでもない。―
何かを考えながら
真面目な顔で呟いた拓哉は
あの時、あの瞬間
あたしの中の気持ちに
気付いたのかな…