それでも、先生が好きでした。
第5章 ━確かな居場所━
「……あつ…」
ギラギラとした日差しに
日に日に夏へと近づいていることを感じる土曜日の朝。
中間テストが無事終わり
5月から6月へと暦が変わり
制服も夏服へと変わったけれど
相変わらず
あたしと拓哉の関係は
あたしと沙来の関係は
あたしと先生の関係は
なんの変化もなかった。
「あ、えりかちゃんおはよ〜!」
「おはよ」
体育祭を間近に控えた今日は
土曜だけれど準備のため学校へ来た。
教室にはすでに何人もの女の子たちがいて
みんなやる気あるなぁ、なんて
人事のように関心してしまう。
「えりかちゃん、さっそくだけど
これやってくれないかなぁ?」
応援の衣装を作るグループのあたしは
リーダーの女の子に
大量の真っ白な布を渡された。
「たすき作ってほしいの〜
いいかなぁ?」
かわいらしく首を傾げたその子。
もちろん、断る理由なんてないから
「了解
じゃあ、被服室行ってくるね」
あたしはニッコリ笑って
被服室へと向かった。