となりの紀田くん



「違う、悠斗!これ私の弟!」




「なんだ……弟か。ってえぇええええええっ!?これが、ゆあの弟!?」





私に抱きついて離そうとしない
柚の姿を見て悠斗が驚いたように
柚を指差す




驚くのも無理はない。




こんなシスコン悪魔
誰が見たって驚くわ………




「そうなんだよね………ははは。」





私は目を細めて
遠くを見ながら
乾いた笑いを漏らした。




「いや、噂には聞いてたけど………まさかここまでとは。」




うん、柚くん。
悠斗がドン引いてるよ?
かなりすごい勢いで
体を後ろにずらしたよ?
気づこうよ………ねぇ?






とりあえず…………うん。





「柚………離そうか」




私は柚を引き剥がして
隣に座らせた




「お前も相変わらずだな。シスコン悪魔」




「うっせぇ、変態」




「おいおい柚。俺が変態だったら、お前はド変態だな」





「なっ!!」





紀田が柚をからかう。
本当、紀田は柚をからかうのが
大好きだよね………




夏休み中も柚に会えば
必ず、からかいの一言や二言は
言っていたような気がする。




悪魔スマイルで
柚をいじめる紀田



間違いなく楽しんでるよ……
一種の暇潰しみたいに
なってるよ………





「ちょっと………紀田。あまり柚をいじめないでよ」





「あ、わりぃな。あまりにも反応が面白くて」





「おい、ゆあ!いじめられてねぇから!!逆に紀田をいじめてんの!!」




どの口が言うか………




「ハイハイ……ソーデスネ」




私は適当にあしらって
テーブルにあるお菓子に
手をつける




「何、その適当な感じ!?めっちゃ棒読みだし……」




「もう、柚うるさいよ」




しつこく抗議してくる柚に
うんざりして私は
柚を部屋から追い出した。
< 104 / 370 >

この作品をシェア

pagetop