となりの紀田くん



しかし……
鈴はやけに勘が鋭いから
この嘘で誤魔化せたかどうか………




「あ、そうなのー?行く!ゆあも来るよね?」






え…うそっ!?
誤魔化せちゃったよ………






「ゆあ?」






私が誤魔化せたことに
唖然としていると






鈴が心配したように
顔を覗き込んでくる






(……おい…!)





紀田が怒りに満ちた笑顔で
私の横腹を思いきりつつく






「ふぇ?あ…ああ!もちろん行くよ!」




我に返った私は
慌てて親指を
グーっと立てて
ニカッと笑った




「そ……そっか!ふふ。楽しみだね♪」




「だ、だね!」




私は後ろを向いて
ふぅっと胸を撫で下ろした。





そんなやり取りばかりが続いて
何も聞き出せないまま
鈴の誕生日の前日が
訪れてしまった………。
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