となりの紀田くん
ああ、フラれるな……
そう思った刹那
「実はね……私も梓くんが好きなの……」
「え?」
耳を疑った………
これは夢なんじゃないかと
錯覚してしまうくらい
嬉しくて………
「私も、梓くんが好きです。お付き合いして下さい。」
鈴ちゃんが優しく
微笑んだ
その笑顔が
あまりにも
可愛すぎて
思わず僕は抱き締めた。
するとーーー
「いやぁ……初々しいカップルですねぇ」
ゆあちゃんがニヤニヤしながら
教室に入ってきた。
びっくりして
お互いバッと離れる
「鈴、おめでと!」
「え、ゆあ気づいてたの?」
「当たり前でしょ!」
ゆあちゃんが腕組をして
フンッと鼻を鳴らす
「ゆあちゃんたちだって、初々しいカップルじゃん……」
僕が口を尖らせて言うと
「はぁ?私と紀田のどこが初々しく見えるわけ!?」
と心底呆れたような
顔をする………
「俺とゆあが何だって?」
ドアの方に突っ立っていた
紀田くんが後ろから
ゆあちゃんを包み込む
ように抱き締める
よくもまあ人前で
そんな大胆なことが
できるもんだな………
僕がいろんな意味で
感心していると
「な、なんでもない!いいから離して!!」
顔を真っ赤にして
紀田くんを引き離そうと
頑張ってるゆあちゃん
そういうとこが
初々しいってゆーんだよ
ばか、ゆあちゃん。
まあ、僕も人のこと
言えないけどね(笑)
僕と鈴ちゃんは
紀田とゆあちゃんを見て
二人で笑った………
でも………ふと教室の
扉に目を向けたら
教室の扉から
少し顔を出して
竹中くんが今まで
見たことないような
凄い形相で紀田くん
カップルを睨み付けていた。
そして僕と目があった瞬間
彼は慌てて姿を消した………
*梓 side end*