となりの紀田くん
*距離*



*距離*




「裕也!」




「要………」




いきなり私たちの前に
現れた要さん




その後ろには何故か
悠斗がいる………




「今さら何しに来た?」




紀田が低く冷たい声で
要さんに聞く




しかし紀田の瞳は
要さんではなく
悠斗を見据えている
ようだった。




「冷たいなぁ………」





口を尖らせ膨れっ面をする




そして紀田の耳元で
何かを囁いた




その瞬間、紀田の
表情が強ばる



もちろん要さんの
囁きなんて私には
聞こえていない………




一体あなたたちの間には
何があるの?




要さん………あなたは
紀田に何て言ったの?




要さんが、紀田の腕に
自分の腕を絡める
一切抵抗しなくなった紀田



紀田はどうして
抵抗しないの?




「だから言ったろ?時期にわかるって………」




「悠斗………」




いつの間にか私の
近くに来ていた悠斗が
そんな事を言う




梓くんが言ってた悠斗の
企みが、要さん関係なんて……





「詳しくは俺も知らない………。ただ1つ言えるのは、裕也は絶対に要を裏切れないってこと」




前の方で紀田にベタベタ
している要さんが
私を見て勝ち誇った
ような笑みを浮かべる




「悠斗……あんたは要さんと、どういう関係なの?」




「どういう関係って………前に言ったろ?他に好きな人が出来たって」





「ま、まさか!!それが要さん?」





「はい、せーかい。」





私にやたら突っかかって
来たのは私が好きだから
じゃなかった?





全ては要さんとの
企みのため?




別に自惚れていた
わけではないけれど
かなりショックだ。




それより何より
今、目の前で
紀田が要さんと
仲良くしてることが
一番ショックかもしれない




私は苦痛に耐えきれなくなって
その場から消え去るべく
走り出したーーーーーーー
< 119 / 370 >

この作品をシェア

pagetop