となりの紀田くん
俺は新入生代表の
挨拶の件で職員室
に呼ばれていた
「あのー、尼川先生います?」
「ああ、紀田」
「原稿まとめてきたんで。」
「お、さすがだなー」
全然さすがとは
思ってないような
口振りで適当に流す
そこでチャイムが鳴ったので
担任の尼川と一緒に
4組へと向かった
教室に入るなり
「紀田の席あそこな」
尼川が指差す
げっ………
さっきのうるさい女が
驚いた顔で俺を見てすぐ
辺りをキョロキョロと
見渡すーーーーー
なんだ?あいつ………
バカじゃねーの
俺はそいつに見向きもせず
平然と自分の席に
腰を降ろした。
………………………。
………なにか視線を感じる。
そう思いチラッと横を見れば
隣でアホ面しながら
俺をガン見してるから
「なに?何か用?」
そう訪ねてみれば
「べ、別に何も………」
慌てて否定する
ほんっとうぜぇ………
こういうタイプの女が
一番大嫌いだ
女も男もみんなそう。
俺の顔目当てとか
俺の家の金が目当てとか
いつもそんなのばかり
もう、うんざりだ。
「じゃあ、見んな。気色悪いから」
俺が悪態をつけば
奴は眉をつり上げて
プイッとそっぽを向いた。