となりの紀田くん



退屈な入学式が進んでいき
無事に新入生代表の挨拶も
終わって教室に戻る






席につくなり
隣の………まあ猿とでも
言っておこう





いきなり凄い剣幕で
話しかけてくる……





「ちょ、ちょっと!」






ったく、うっせぇな……





「何?」






俺は不機嫌オーラを放ち
低く冷めきった声で
猿に視線を向ける





「何?あんた首席トップなわけ!?」






何をそんなに驚く必要がある?
んなこと………お前に関係ない






「だったら何?ってゆーか、お前みたいに馬鹿丸出しな奴に、あんた呼ばわりされたくないんだけど」






大抵の女は俺が悪態をつけば
瞳に涙を潤ませる……
そして気に入られたいが為に
媚売ってきたりする





俺が、わざわざ絡みに
行かなくても勝手に人が
寄ってくるわけだ………





しかしーーーーーーー






「はあ!?なにその言い方!!」





名前を知らない
目の前の猿は





瞳に涙を潤ませることなく
眉間に皺を寄せて
俺を睨みつける………





そこで感じた違和感





こいつ……他の女とは
ちょっと違うかも………。





なんか面白くなってきた





「うるさいな、黙れよ」





あえて不機嫌そうな
顔をして、次の言葉を
期待する






「だいたいね、馬鹿とか言うけど私は入試2位なんだからね!!」





こいつ………
本物のバカだわ!!!





"猿弄り"





退屈な高校生活の
ちょっとした暇潰しになりそう






「だからどうした?俺より馬鹿なのは確実だろ…」






俺が悪態をつくたびに
顔の表情が変わっていく






その日から""猿弄り"は
俺の日課となっていったーーーーー
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