となりの紀田くん



俺は午前中の授業には
出ずに、ずっと屋上で
寝こいていた




雲1つない晴天





空っていいよな………
見てると清々しい
気持ちになる………




そこでギィィっと
扉から開く音がした……




声的に………




内倉と榎本?





内容こそ伝わってこないが
明らかに猿声が聞こえる




俺が覗こうと
起き上がった瞬間




耳が張り裂けそうな程の
あり得ない大声で




「紀田のバカヤロぉおおおおぉーーーーーっ!!!」





なんて叫びやがるーーー





こいつ…………
そろそろお仕置きが
必要かな………?





俺が榎本の後ろまで行くと
驚いた顔で




「き、紀田くん!?」





と言ったにも関わらず
優越感に浸っているのか
気づく気配のない内倉





俺は人差し指を自分の
口の前に置いて
榎本に合図すると




「うるせえな」




冷たく声を漏らした




「鈴、今何かーーー」





フェンスから足を降ろして
何かいいかけるが
俺の姿を見るなり
顔が青ざめていく内倉





俺はそんな内倉を
容赦なく睨み付ける





「お前、誰様に向かって馬鹿とか言ってんの?」




「だ、誰様って…あんたに決まってんでしょ!!だいたい何でそんなところにいるのよ!?」




青ざめたまんまの顔で
焦ったように言葉を繋ぐ





「んなの人の勝手だろーが!てか、お前来いよ」





俺は無理矢理
内倉の腕を掴んで
屋上を後にした





「……ちょっ!!離しなさいよ!」





なんていう内倉の
言葉はスルーして…………。
< 126 / 370 >

この作品をシェア

pagetop