となりの紀田くん



「……泣いたのか?」





「は!?泣いてないし!!」




いつもの強がり……
俺は思わず優亜を
抱き締めた





「き、紀田!?」




優亜が驚いて
声をあげる




俺は抱き締めている
手に力を入れて




「ごめんな……」




小さく呟いた





「嫌だなー、紀田!何……謝ってんの?」




あははと笑って
そんな事を言う




そんなの…………
本当の笑顔じゃない




「作り笑いすんなよ」




俺がさせてるのに
なんて自分勝手なんだと
思うけれど………




優亜には我慢してほしくない。




いつでも純粋な笑顔で
笑っていて欲しい………





「い、嫌だなー。作り笑いなんてしてないよ?」




俺の言葉に動揺したのか
引きつり気味の笑顔になる





「してんじゃねぇか……」





「してないってば!!私は平気だから!」




「どこが平気なんだよ!?そんなに目を赤く腫らして………バカだな」





俺は優亜の唇に
俺のを重ねたーーー




そして舌を混入させ
口内をかき乱す





「……んっ…き………だっ………」





そんなエロい声で鳴くなよ
今すぐ俺のもんにしたくなるだろ




「………んぁ………っ」




顔だってこんな真っ赤にして
すんげーエロい顔してる




おかしいな………
女のこんな顔なんて
飽きる程見てきたのに




キス以上のことなんて
山程してきたのに………




エロいと思ったのも
愛しいと思ったのも





優亜………お前が
初めてなんだよ。





苦しくなってきたのか
俺の胸を叩く





俺はゆっくりと
唇を離した………




肩でハァハァと
息を整えながら
やっと本当の
笑顔を見せる




「クスッ………相変わらずキス下手だな………」





「なっ!!う、うるさい/////」





「はは……本当、可愛い奴」





あー、本当俺
どうかしてるよ




こんなオス猿………
いや、メス猿が
可愛く見えるなんて……
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