となりの紀田くん



「何よ、その目……」





「ハッ……私が紀田を弄んでる?……ばっかじゃないの」






「なっ!!!」






「紀田の中身を見ようともしないで………紀田のどこが好きだっていうの?」






「そ、それは……かっこよくて強くて頼りになるところ……」






私の豹変ぶりに
驚きを隠せないギャルは
萎縮気味に小さく呟く……






確かにギャルの
言ってることは
間違いではない。






でも………






「本当にそれが紀田だと思ってるの?」






「は?意味わかんないだけど……頭おかしいんじゃない?」






「紀田はね……確かにかっこよくて強くて頼れる男かもしれない。でもね……本当は誰よりも臆病で弱虫で優しい奴なの………」






「それが何だっていうのよ!?」






ギャルが私の胸ぐらを掴んで
自分の方へと引き寄せる






しかし私もそれを
怯むことなく見据える
強く真剣な眼差しで…………






「そんなことも知らないでいて紀田が好きだって?笑わせないで。あんたが好きなのは紀田じゃない。紀田の容姿でしょ……。私はそんな紀田だから側にいたいと思った。助けたいと思ったの……」







「煩い、黙れ!!!」






ギャルが勢いよく
拳を振り上げた





私は覚悟して
ぎゅっと目を瞑る






しかしギャルの拳は
いっこうに落ちてこない






不思議に思って目を
開けると………





「紀田………」





ギャルが小さく呟いた。

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