となりの紀田くん



「ありえない!ありえない!ありえない!ありえなぁああああいっ!」




踞る紀田を置き去りにして
空き教室を飛び出した私は
一人廊下で叫んでいた




とっくにチャイムは鳴ってるし
お昼食べてないからお腹空いたし
イライラするし………




ドンッ




「わっ!」




あまりの怒りで前を
全然見ていなかった私は
誰かにぶつかった………ようだ。




「いたたた………っ」



「ご、ごめんね!大丈夫?」




「あ、いや大丈夫です!こちらこそ、すみませ…ーーーーーーーっ!」



ぶつかった反動で
尻餅をついた私に
優しく手を差しのべる
相手の顔を見て絶句する




めっちゃ美形やないかーい!!




ちょっと癖のある茶色がかった
ふわふわな髪に合わせるように
くりくりとした茶色い瞳




スラッとした体型なうえに
長身で、まさに美男子そのもの。




「ほ、本当に大丈夫?」




あまりに美形なその彼に
見とれていると



心配そうに顔を覗き込んでくる。




「あ、すみません!大丈夫です!ありがとうございます!」



差し出された手を掴んで立ち上がり、ちゃんとお礼を言う。




「クスッ……同い年なんだからタメ口でいいのに……」




え、笑顔も美しい!!



って………同い年!?



てっきり先輩かと思った!!




上履きの色を確認すると
自分と同じ青色で



自分と同じ1年生だということが
すぐにわかったーーーーー




同学年にこんな
美男子がいるなんて……




全然知らなかった!!

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