となりの紀田くん



見上げれば
下ろしかけたであろう
拳が紀田の手によって
阻止されている






「き、紀田!?なんでここに!?」






「どっかのメス猿さんが遅いから迎えに来てやったんだよ」





私の驚きの言葉に対して
不機嫌そうな声で返す





よく見れば顔も
ずいぶんと不機嫌で
いらっしゃるようで………






「き、紀田離して!なんでこんなブスに構うの!?」






「あ?ブスはお前だろ」






「え?」







「こんな裏庭で……しかも3対1かよ。確かにこいつよりも顔はいいかもしれねえけど…………やってる事は陰湿できたねえ。…………お前ら性格ブスなんだよ」







確かにごもっとも。
さらに紀田らしい
暴言の吐き方






でも、そこまで
言わなくても………






って思ってしまう私は
お人好しなのだろうか……





「俺、性格ブスは好きになれないな。あと、こいつブスじゃねえから………性格はもちろん、顔も声も仕草も可愛い………」






おお、ついに紀田も
私の素晴らしさに…………






ってえぇえええええええっ!?






なにそんな真顔で恥ずかしいこと
サラッと言っちゃってんの??






確認しなくてもわかるくらい
熱が上がるのが分かった。





たぶん私………
いや、たぶんじゃなくても
顔真っ赤だーーーーーー





「ほら、これくらいのお世辞で赤くなっちゃうところとかな……」





なんて言いながら
紀田が私を引き寄せて
頬に軽くキスをする





ど、どさくさに紛れて
キスまでしやがって/////





ってお世辞かいな!!!





「とにかく……俺は、こいつ以外の女に興味はないから………さっさと俺の前から失せろ」




紀田のあまりにも低い声に
ビクッと肩を揺らして
半泣き状態のギャル





「もういい!!」




そのまま走り去って
しまったーーーーーー




友達であろう二人と共に。
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