となりの紀田くん



紀田は睨む私を残して
準備室を出て行った




なんだかなーもうっ!!!




「好きだーバカやろう」




「え、内倉さんて……まだ紀田が好きなの?」





ふとそんな声が聞こえる




え……?




ハッ!!!




と気づいた時には
もう遅い………




声のした方を振り向けば
男子数人が真っ赤な顔で
口をパクパクとさせている





その中で一人、無表情な顔で
私を見るクラスメート





確か………羽麻 俊(ハネマ シュン)くん




「あ、いや、ちょっ………い、今のは違うの!!」





「キスしてたくせに?」





「いや、その……あれは。そ、そう!紀田はフレンドリーだから、彼にとってキスは挨拶みたいなもんなのよ!」




自分でもわけわからない
言い訳で誤魔化す




「まあ、確かに今の紀田ならありえそうだよね……」




今の紀田?




「羽麻くん………昔の紀田を知ってるの?」





「知ってるよ………あまり仲良くはなかったけど中学一緒だったから。」





「そうなんだ……中学の時の紀田は、どんな奴だったの?」




要さんとのこと以外なら
聞いても大丈夫だよね?





「教えて欲しい?」




ニヤリと不適な笑みを
浮かべる羽麻くんを
ちょっと不思議に
思ったけれど



私は頷いたーーーーー
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