となりの紀田くん



「拒否権ぐらい私にだってある!と、とにかく!私は羽麻くんとは付き合わないから!」




私は逃げるように
空き教室を飛び出したーーー




どうしてこうなったんだ!?





私は一人頭を抱え込みながら
ホスト喫茶まで戻った




ーーーーーーーー



「紀田ー、ちゃんと働いて………」




ホスト喫茶に戻るなり
私は目を見開く………




何故か紀田の隣には
要さんがいて
仲良く寄り添って
いるではないか………




「あらぁ、ゆあちゃん!」




わざとらしく私の
名前を呼んで
紀田から離れて
私のもとへ近寄る




やはり要さんの望みは
私と紀田が別れる
ことだったのだろうか?




「どうも……」




私は冷たく挨拶をして
そっぽを向いた




すると要さんは
私の耳元で




「私の勝ちね」



と囁いた





その言葉に溢れんばかりの
怒りが私を支配する




私は要さんを
思いきり睨み付けた




「やだあ、裕也」




甘い声を漏らして
再び紀田に近づき




「ゆあちゃんが私を睨んでくる~。かなめ、こわーい」




全然怖がってないくせに




「要さん………ちょっとお話があります。」




「えーなんだろぉ?」




「一緒に来て下さい………」




私は要さんをドアまで
誘導して一緒に
教室を出る………




「う、内倉!俺も行く!」




「いい、紀田は来ないで」




私の強い言葉に
紀田は止まる




私はそんな紀田を
残して要さんを
裏庭まで連れていった。
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