となりの紀田くん



「要さん………貴女の目的は一体何ですか?」




「ずいぶんと単刀直入に聞くのね」




さっきとはうってかわった
低く冷めた声………






要さんが私を
思いきり睨み付ける





これが要さんの本性?





「いいから答えて下さい!!!」





要さんに気圧負け
しないようにと
出来る限りの大声を出す





「ってゆーか、裕也から何にも聞いてないわけ?」






「私が話したくなるまで話さなくていいって言ったんです」





「へぇ………だから私に聞こうとしてるのね」





「違います………私が今、聞きたいのは紀田の過去じゃなくて、貴女の目的です………」





「目的?」





要さんは私をバカにするように
薄笑いを浮かべて聞き返してくる





「そうです………貴女は私と紀田を別れさせたかったんですか?」




「うーん………,まあ、そうね。一理あるわ」





要さんは少し考える
素振りをしたあと
肯定の答えを私に返す





でも、一理ある
ってことは他にも
理由が…………?




困惑する私をよそに
要さんは口を開く





「でも、私の本当の目的はそんなことじゃない………」





要さんが目で何かを
訴えるように
遠くを見据える





しかし、要さんの視線の
先には何もない………




「じゃあ………本当の目的って?」




「私の本当の目的………それはね、裕也を地獄に突き落とすことよ………二度と這い上がってこれないよう、深い闇のどん底に………」





「え?」





何を言ってるんだ?
要さんは紀田が
好きなんじゃないの?
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