となりの紀田くん
羽麻と優亜が
裏庭を去って
取り残された
紀田と要ーーーーー
※紀田視点
「あーあ、ゆあちゃん泣きそうな顔してたけど………いいの?」
要がわざとらしく
心配したように
聞いてくる
「黙れ………こうでもしなきゃ、どのみちお前はあいつを傷つけるつもりだったんだろ?………お前に泣かされるよりはマシだ」
「そうね。そのつもりだったけど……今のでも十分効果があるみたいね………その顔、お兄ちゃんにも見せてやりたいわ!!」
俺がどんな顔をしてるかなんて
鏡でも見ない限りわかりはしない…
でも歪んでいることに
間違いはないだろう
こいつが女じゃなかったら
今すぐぶん殴ってやるのに。
いや、例え今
目の前にいるのが
昴さんだったとしても
俺は殴れないな………
「そう、それでいいのよ。あんただけ幸せになるなんて許さない……」
「絶対、優亜だけには手を出すなよ……」
俺は鋭く要を睨み付け
念を押す
「あんたがあの子のモノにならなければ……あの子には手を出さない」
そんな俺の眼差しに
怯むことなく返事をする
「言ったな。守れよ……」
「ええ、もちろん。私は嘘はつかないもの」
フフッと妖艶に笑う要
どの口が言うか。
さっき大胆な嘘を
吐いたくせに………
俺は見えなくなった
優亜と羽麻の背中を
暫く眺めていたーーーーー