となりの紀田くん



「は、羽麻くん!騙すなんて酷いよ!」





私から唇を離した
羽麻くんに向かって叫ぶ






「騙されたほーが悪い」





と言って舌をベーっと出す






「羽麻くんのバカ!」





なーんて…………
私いま、彼のおかげで
笑えてるんだ…………





「バカじゃねえし!内倉はやっぱ笑ってる時の方が可愛い」





ケラケラと笑いながら
平然とそれを口にする





「か、可愛くないし///」





「可愛いよ」





「う~~っ………もう、離して!」





「やだね!」





やっぱり羽麻くんも
悪魔なのか……
悪魔つーか、大魔王?





私は羽麻くんに
抱き締められたままの状態で
盛大な溜め息をついたーーー





ーーーーーーーーー





そして文化祭二日目が訪れた





昨日サボりまくった私たちは
今日は休憩無しで働けとのこと






「そんな!!!私、文化祭回りたかったのに!」





「ふふっ、そんなことは……ちゃんと働いて成果を出してから言いなさい」





案の定、鈴は怒っており
口調こそ柔らかいものの
目だけ笑ってない笑顔






「は、はい。すみません。」





私は仕方なく受付嬢の
仕事をするべく
席へつくーーー





「はぁーい!今日の特別企画を発表しちゃいまーす!」





私の大きな声に
道行く人たちが
一斉に振り向く





「なんと、なんと!女性の方限定で来客された方に、現在No.1の紀田くんからの熱い抱擁をプレゼントしちゃいまーす!!」






「きゃああああ/////」




「これは並ぶしかないでしょ///」





私の発言に回りの
女子は歓声をあげる




一般客にも
知りわたってるなんて





一体何者なんだ
紀田は……………
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