となりの紀田くん



私の適当な提案に
釣られて女性客の
長蛇が止まない




しかも何気………
成果出てるし。





「今日もありがとう。また俺に会いに来いよ………」




「絶対くる~!」




「じゃあ、最後に………」




紀田がお客さんを
抱き締める………




「………好きだ」




なんていう
おまけ付きで……





ほらほらほら!
紀田が甘声で囁くから
女性客とろけちゃってるじゃん!!





「ゆあ、やっぱ凄いよ!いい案、思いついたね!」





「でしょー!さすが私」





ドヤ顔でフンッと鼻を鳴らす





「まあ、実際………頑張ってるのは紀田くんなんだけどね」





「そ、そこ言っちゃダメ!」





鈴さんよ………
痛いとこ突かないでおくれ。





「じゃあ、二人とも頑張ってるみたいだし、一時間の休憩あげる………ちょうど長蛇も止んだみたいだし。」





鈴が天使のような微笑みを
私に向ける………





「え、いつのまに!?」





紀田に目を向ければ
物凄いスピードで
女性客を捌いているではないか





もちろん………





「ほら、来いよ」





ぎゅううううううっ





「きゃああああっ/////」




熱い抱擁も忘れずに………。





「ほら、紀田くんに休憩だよって伝えなきゃ!」




鈴が私の背中を押す




「え……あぁ、うん。………」





本当は紀田に
気付かれないうちに
去りたいとこだけど………





仕方ないか…………






私は渋々、スーツ姿の
紀田へと歩み寄ったーーーーー
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