となりの紀田くん



「私はもう紀田のこと好きじゃない………」




「ああ、そうかよ………」




紀田はそれだけ残して
去っていったーーーーー





「あーあ、あんなこと言っちゃって良かったの?」





要さんが私を嘲笑う





紀田が
勘違い妄想性悪変態男で






羽麻くんが
意地悪妄想ドS変態大魔王なら






要さん………貴女は





「見せかけ美人性悪バカ女ですね………」





「は?」




「羽麻くん………行こう」





私は一刻も早く
視界から要さんを
消したくて




羽麻くんの手を引いて
その場を後にした………





ーーーーーーーーー




「なあ、あんなこと言ってよかったのか?」





「ぬわっ!」




あまりにイラつきすぎて
ボーッとしていたら
急に羽麻くんが喋り出すから
驚いて変な声が出てしまった





「なに、その反応。やっぱり内倉おもしれえわ!」





腹を抱えてケラケラと
大笑いする




そ、そんなに
笑わなくても!!




私がブスくれていると
笑いすぎて涙目気味の
羽麻くんが




「ご、ごめん」




と謝ってきた。





「てか、俺と付き合ってるって言って良かったの?まあ、拒否権なんて最初からねえけどな」





「これで良かったんだよ……」




「はぁ。本当お前はさぁ………なんで、そうやって泣くのを我慢しようとすんの?」





「へ?」




羽麻くんが
私を抱き締める





「無理せず泣けよ。胸貸してやるから………」





その一言で
私の涙腺は狂った




止まらない涙




「つーか、泣くくらいなら……あんなこと言うなよな」





「だ、だってぇ………グズッ」





「まあ、でも。言ったからには全うしてもらうぜ?俺の彼女として」





「む、無理だよ!」




「それはこっちの台詞ー。前言撤回はできません!」




私を離して悪戯に笑う
羽麻くん




確かに………
羽麻くんと付き合ったほうが
幸せになれるかもしれない。





今は好きじゃなくても
いつか好きになれるかもしれない





「あ、やべ。そろそろ終わりだ!喫茶戻るぞ!!」





羽麻くんは慌てて
私の手を掴むと
走り出したーーーーー
< 163 / 370 >

この作品をシェア

pagetop