となりの紀田くん



「付き合うって言えば、私の為に働いてくれると思ったから言ったのに……結局バレて、本当使えない男ね!!」






何それ。
そんなの酷すぎる……






確かに悠斗は
すごいバカだけど………






それは本気で要さんを
好きだからやったんだ






それなのに要さんは
自分は悪くないとでも言うように
腕を組んで悠斗を睨み付ける






「要、いい加減に………」






呆然とする悠斗の代わりに
要さんを怒鳴り付けよう
とする紀田






しかしーーーーーーーー






それはバシンッという
派手な打音で遮られた。






いつのまに紀田の前を
通り抜けていたのか





平山さんが
要さんの頬を
思いきりひっぱ
たいていた






「な、何すんのよ!?こんなことしてただで済むと思ってんの?」






叩かれて赤く染まった頬を
押さえながら目を血走らせて
怒鳴り散らす






「最低ですね貴女」






いつも控えめで真面目で
大人しい平山さんからは
想像も出来ないような
鋭い眼差しで要さんを睨む






「最低?私が最低だって?笑わせないで」






要さんは鼻で笑うと
平山さんを見下す






「竹中くんの本気の気持ちを利用して、傷つけて……最低ですよ。竹中くんに謝って下さい」






「何で私がこんなバカに謝らなきゃいけないの?ブスの分際で調子乗らないで」






その言葉にカチンと来る。
あんたに悠斗をバカにする
権利なんて何一つ無い





ブスだからって何だって言うの?






一番ブスなのは
要さんじゃない。





「確かに私はブスかもしれません。どんくさいし見た目の割にはバカだし……でもね、貴女より心は綺麗です。いくら美人でも貴女は性格がブスなんですよ………そんな人が竹中くんをバカにする権利なんて無いんですよ」





「黙れっ」





バシンッ




今度は要さんが
平山さんの頬を張り飛ばす




その反動で眼鏡が落ちる。




よく言った………
平山さん強いよ。





「要、いい加減にしろよ!!」





紀田が要さんの
肩を思いきり掴む





「今まで黙って、お前の言われるがままにしてきたけど、もう限界だ。俺の次は悠斗か?ふざけるなよ」





「い、痛い!離して裕也!今から警察に行く………」





「行っても無意味だ」






紀田は空いてる方の手で
ポケットを探ると
何かを取り出して
ボタンを押したーーー
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