となりの紀田くん



買い物が終了し
来た道を戻る





「本当、人使い荒いんだから!自分勝手だし!」






「あはは………」





~♪~♪~♪~♪~♪





不意に携帯の
着信音が鳴る





どうやら平山さんの
携帯みたいだ






「はい、もしもしー。紀田くん……………え、あっ、ちょっと待って!!」





電話に出て直ぐ様
焦った様子で
私から離れていく





なんかさ……………
みんなおかしくない?






今朝の鈴と紀田の
発言といい





今の平山さんの
慌てようといい





だってさ………
紀田と電話するのに
何故、私から離れる
必要がある?





「ごめん、内倉さん!」






戻ってくるなり
謝る平山さんに





「いや、大丈夫。それより早く戻ろう………」





でもそう思ってるだけで
ただの勘違いかもしれないし。






たぶん気のせいだよね………





「ま、待って!!私、ちょっと寄りたいところあるから着いてきてくれないかな?」






「ん………別にいいけど」





私は歩き出した
平山さんの後を
ついていった。





ーーーーーーーーー




寄り道すること
もう一時間………





特に何かを買うわけでもなく
ウィンドウショッピング
みたいになっている





そしてちょくちょく
携帯を気にしては
ピコピコと操作する





気のせいとかじゃない





これは完全にみんなが
私を仲間はずれにして
何かを企んでいる証拠だ





「ねえ、もういい加減帰ろうよ」





歩き疲れた私は
眉間に皺を寄せて
だるそうに呟く





「ご、ごめん!あともうちょっとだけ!まだ準備が………」





そこまで言って
平山さんはハッと
何かに気づいて………






慌てて口元を押さえる






「準備って何?」





「な、何でもないの!!」





「ねえ、みんなで何を企んでるの?私だけには言えないことなの?」




「ご、ごめん」





「もういいよ………私、自分家に帰る」





荷物を全て平山さんに
押し付けて帰ろうとした
まさにその時ーーーーーー





グイッ





「帰ろうとしてんじゃねえよ」






私は誰かに腕を
掴まれて引き寄せられたーーー。

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