となりの紀田くん



「じゃ、悪いけど……こいつ俺のものだから返してもらうよ」




私の言葉をスルーして
梓くんにそう告げると




私の手を握って歩き出した。




って………私はものじゃない!!




梓くんはそんな私たちを
ただ呆然と見つめていた。




ーーーーーーーー




その日の夜



「あー、もう信じらんない!ばかばかばか!」




お風呂に入りながら
紀田の悪口を言っていると




「ゆあ、まだー?」



脱衣場から声がした。




「ちょ!ゆずっ!?脱衣場まで入って来ないでよ!」




「だって遅いから…。俺、心配したんだよ?」




悲しい声でそんなこと言うなよ…




「うん、気持ちは嬉しい。嬉しいけど…とりあえず出ようか?」




「ちぇ、甘え戦略失敗!しょうがないから出るよ。……でも、上がったら……覚悟しといてね?ゆあ。」




全然心配してないじゃんか!!



悪魔な弟め!




そうなのです。




ゆず………こと
内倉 柚 は私の弟なのです。




ずる賢くて悪戯大好きな悪魔





そして……極度のシスコン……

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