となりの紀田くん



「お前、こんなときだけ素直になんなよ………バーカ」





私には何故
抱きしめられながら
罵られてるのか
全然わからないのだけど、、、




しかも、紀田の胸に
顔が埋まっているせいで
表情が見えない………





目の前真っ暗!!!





「紀田……お前」





「羽麻黙ってろ」






よくわかんないけど






「とりあえず、息苦しいから離してくれないかな??」





ぶっきらぼうに
そう言えば




「わりぃ………」





やけに素直に
私から離れて謝る





離れた瞬間に私の体から
紀田の温もりが消え






切なくて悲しい気持ちになる。






けれどずっと
抱き締められていたら
きっともう離せなくなって
しまう気がするから。






そんなわけにはいかない。






いかないのに…………
そんな風に抱き締められたら
期待しちゃうじゃん






そんなことを思いながら
紀田を見てみるが
普段と全く変わらない
何事もなかったかのような
無表情で…………





やっぱ、今の特に
意味はなかったのかな?





羽麻くんは複雑そうな
顔をして私を見る……





そんな中、空気の
読めない奴がただ一人………






「ってか、早く誕生パーティーしようぜ!」





悠斗だーーーーーー





「そうだね、竹中くんの言う通りだよ!」





そんな空気読めない男
の言葉をフォローして
この暗い現状を
何とかしようとする
平山さん






「平山さん、大丈夫。悠斗は自分が早く料理を平らげてしまいたいだけだから………」






「おい、こら!ゆあ!ひ、平山さん違うからね?」






「あはは………」






そんな感じで始まった
私の誕生パーティーは
瞬く間に過ぎて行き






みんなの手作り
チョコレートケーキを
食べる時がやって来たーーー
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