となりの紀田くん
「おはよー!」
にこにこ笑顔の鈴が
私のもとへ駆け寄ってくる
「あ、おはよ!今日も梓くんと登校?」
「うんっ!」
「本当、仲良いよね。てか、明日から冬休みだねー、鈴は梓くんと遊んだりするの?」
「もちろん!!」
「ですよねー」
大きな溜め息をついて
窓の外を見る
いつもは紀田がいて
見えない外の景色も
今は見渡せて…………
紀田がまだ隣に
いないということを
実感させる
「昨日、雨凄かったよね!」
「あー、そういえばちょっと雨の音してたかも」
昨日は柚の対処法に
一生懸命で
雨を気にしている
場合じゃなかったけど
今日はな……………。
若干、雨雲の広がった空
雨降らないといいな。
ブーブーブー
私がそう思ったのと同時に
携帯のバイブ音が鳴る
「危なっ、サイレントにしてなかった!」
「授業中に鳴ったら怒られちゃうよ!」
「大丈夫、今、設定するから」
とか言いつつ
うちの高校は校則が
緩いんだよね
通称 ゆる高。
「それにしても、こんな時間に誰だろー?」
受信ボックスを開いて
名前を確認する
"紀田"
確かにそう書いてある。
なんだろー?
私はメールを開き
内容を見て…………
フリーズした。
は?え?
ちょっ……………
これまじ…………?