となりの紀田くん



「もう!いるなら早く開けてよね!」






「うっせぇな、それどころじゃねーんだよ………」





「じゃあ、何どころよ?」





「何どころって何だよ…………つーか何しに来たんだよ?」






「あんたが意味深なメール送って来るからでしょ!?あれは一体………ーーーーーーーーっ!!」






急にドスッと私の
上に倒れ込む紀田




幸いにも下には
ベッドがあって…………





って違う!!!
な、何してんのよ!!





「ちょ、紀田!…………え」





見るからに辛そうな
顔をしていて汗をかいている




恐る恐るおでこに手を
当ててみたーーーーーーー






「あっつ!!」





「風邪引いたんだよ、わりいか?」





と少し顔を赤く染めて
フラフラしながら立ち上がる





「なら、メールでちゃんと言っといてよ!」





「お前に、心配かけたくなかったんだよ………」





いつもは冷静で強気な紀田が
熱のせいか今日は弱く見える。





なんか今の紀田は凄く
守ってあげたくなる





「とりあえず熱は?」




「ん、39度」




「まじ!?ご飯は?」





「食べてない」





「もう、食べなきゃダメじゃん!!私、作るから紀田は寝てて!」





「でも…………」




「いいから!!」




私は体制を直して立ち上がり
逆に紀田をベッドに寝かせて
首まで思いきり布団を被せる。





「大人しくしててよね!」





私はそれだけ言って
キッチンを借りるべく
部屋を後にしたーーーーー





ーーーーーーーーーーー




「できたよー」




お粥が盛り付けられた食器と
水と風邪薬を、お盆に乗せて
それをテーブルに置く




良かった、携帯用
風邪薬持ってて。





「これ、大丈夫なんだろうな?」





紀田がお粥を見つめながら
訝しげな顔をする





「何がよ?」




「味」




「し、失礼ね!食べればわかるわよ!」





私の言葉に紀田は
怪しみながらお粥を
口にする……





「どう?」




「ん、あー、えっと………」





紀田が難しそうな
顔をするから
ちょっと心配に
なってきた…………




塩加減間違えたかな?





「バーカ、嘘だよ!めっちゃ美味い」




オロオロしだした私を見て
ケラケラ笑いながら
そんなことを言う




む、ムカつく!!
けど、美味いって言われた事が
無性に嬉しくて





ついついにやけてしまう。
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